補綴矯正について|大西歯科医院|下関市彦島江の歯医者

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補綴矯正について
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補綴矯正とは

補綴矯正について

補綴矯正は単に元の形にするのではなく、見た目と噛みやすさを同時に追求し、歯の長持ちも目指す方法です。保険診療では、虫歯は形状の復元、歯周病は進行抑制による現状維持を目指す場合がほとんどです。しかし噛み癖という悪化原因が強いと再発しやすく、却って歯の寿命を縮めてしまうこともあります。残念ながら、保険診療では噛み癖があまり重視されていません。

虫歯や歯周病の再発、歯並びの悪化を防ぐには、原因を減らす指導を受けることに加え、噛み合わせを整えることによって生活習慣を変えることが必要です。噛み合わせが悪ければ、噛める場所を探して噛んだり過剰な力をかけたりしてしまうのも、不思議ではありません。そのパターンを切り替えます。

御自分の歯を修復物によってなるべく標準的な形に近づけ、噛みやすく無理をする必要がない状態にします。修復物による治療は利点も欠点もあるものの、強度を引き上げるという意味では欠かせないものです。以降は噛み癖を改めさせる訓練をしつつ、メンテナンスに移行します。入れ歯は特に、噛み方の基本を守ることが大切です。

普通に噛めるようになれば、後は保険診療でも対応できるようになります。

修復物で歯並び・噛み合わせを整えるということ

修復物によって、噛み合わせを中心とした機能改善や強度の向上を目指すには、歯の位置や当たり方を大きく修正することになります。修復物とはいわゆる被せ物を使うことが多く、歯がない方には入れ歯を用います。歯並びを整えると同時に色調も調整できることが嬉しいところです。一方、天然歯をたくさん削り、なかには歯の神経を取るケースもあるという問題点もあります。

とはいえ歯に負担をかけて抜歯になるくらいなら、いったん削っても補強して長持ちを期待できるほうが、利益がかなり大きくなると考えられます。経済性という点でも、噛み癖に注意し歯を長持ちさせることは、長い目で見てコスト抑制につながるでしょう。そのため、当院では患者さまに補綴矯正をご提案しています。

歯並びが悪くなる原因について

歯が生えるスペースが足りない

現代人の傾向として顎骨が小さいため、歯の大きさとのバランスが取れず重なったり位置がずれたりしてしまいがちです。舌で押す癖や噛み癖によっても、歯は動いてしまいます。また、歯ぎしりの場合は歯の位置は変わらないものの、すり減って歯が短くなります。前歯がすり減ると、奥から順番に歯を失うリスクが高くなります。これでは、噛めないばかりか悪影響まで及ぼしかねません。

補綴矯正の長所

ブラケットなど装置を必要とせず、目立ちにくい

補綴矯正なら、ワイヤーとブラケットを使う矯正よりも短期間で治療することができます。装置を使わないので、治療期間中もあまり目立ちません。下の前歯は矯正にて歯を移動させることはありますが、全体的な矯正やブラケット矯正は基本的にしない方針です。

いつも通りの歯磨きで、虫歯対策ができる

治療期間中も仮歯を入れるため、普段通りのお食事や歯磨きができる状態です。ブラケット矯正とは違い、装置が邪魔で磨きにくいといったことはほとんどありません。

噛み合わせの状態次第では、補綴矯正を基本的な歯科診療の延長として行える場合もあります。自由診療の場合も問題の程度に応じて、可能な限りご負担を抑えられるように治療プランを作成します

なお患者さまのご希望にはなるべく添う方針ですが、内容によっては逆効果となることが予想されお引き受けできないものもありますので、ご了承ください。気になることがあれば、まずは相談していただきたいと思います。

治療期間目安:14日~1年
治療回数目安:1回~30回
費用目安:¥0~¥500,000
リスク、副作用:原則なし

歯科医師の指導にしたがわず患者さまがあまりにも自己流の対処をした場合は、期待した結果が得られないリスクがあります。悪化して治療のやり直しとなれば、別の追加料金として余分に費用がかさむことが予想されます。
※ポイントは、補綴矯正により噛みやすくなれば、強い力は必要なくなるということです。同時に補強もしている為に、以前と同様に噛みすぎてしまえば、以前よりももっと強い力で噛めてしまいます。よって、破壊という悪化がさらに進行する結果となります。これが逆効果(期待した結果が得られない)ということです。

具体的な治療方法

主に被せ物や入れ歯を使うと申し上げましたが、ほかにも金属や白い材料で詰め物をし、噛み合わせを調整します。重要なのは、歯と歯が正しく当たるようにすることです。歯が当たらなければ噛み合わせは成立せず、役に立ちません。

保険診療で入れた詰め物・被せ物が小さかった場合、違和感は少なくて済むものの、噛み合わせの位置が低くなり口腔内が狭くなります。噛みにくくて長持ちしないリスクもあるでしょう。その点補綴矯正では、お口全体を改善させるため、すり減った歯の高さを元の8割程度まで戻します。望ましい歯並びを追求するなかで、患者さまご本人の好みも取り入れます。

特徴的なのは噛み合わせの決め方です。現状の噛み合わせに合わせた修復物にしてしまうと、噛み合う位置が低くなっていきます。全体的な噛み合わせ治療なら、望ましい高さに再設定することが可能です。

その位置を求めるには、噛みすぎを予防するマウスピースが役立ちます。それは歯ではなく上下の骨格に合わせて噛み合う位置を決め、顎のズレを戻すことを念頭に作られているからです。これにより、悪化を招く噛み方をしてしまう状態から、何回噛んでも正しい位置で噛み合うように安定させることができます。入れ歯も同様に、現状に合わせるのではなく正しい位置で噛めるように設計し、噛み方を改善していただきます。正しい位置とは、お身体全体がまっすぐに余分な歪みがなくなった状態を想定しています。

補綴矯正の流れ

まずは保険診療の診査です。必要があれば、簡略的なコースについてご説明します。噛み癖や噛み合わせに問題がない方はほとんどいませんが、治療に進むか否かは通院の必要性とご希望に応じてご本人に決めていただきます。費用次第という方もいらっしゃるでしょう。ただし長い目で見れば、早期に悪化を防ぐほうが経済的だと思います。先送りにして悪化してからでは治療費もかさむことをご理解ください。

1.ヒアリング

患者さまの訴えに耳を傾け、まずは一通りの診査を行います。

本格的な治療に入ると、約50項目の問診を行います。食事の仕方によってお口の状態が変化していると思われがちですが、食事は要因のほんの一部に過ぎません。食事以外の日常生活による影響が大きいため、その詳細を尋ねます。

特に重要なのは、原因を突き止めることです。普段と違う出来事(体調の変化、死別)や心配事(家族を含む)があった時、年度変わりは、特に噛み癖が出やすくなります。仕事上の変化やストレスは、お口への影響が出やすいものです。会話量に比例して患者さまの傾向や好みなども分かるようになり、大変参考になります。

2.検査

問診
ヒアリングの延長でもありますが、治療の大きな柱の一つです。噛み合わせに直接関連することはもちろん、既往症なども漏らさず教えてください。問診表のご記入内容に加え、スタッフと担当の歯科医師からも確認します。後日思い出したことは、ぜひ教えてください。項目によっては数十回確認することもあります。

視診
口腔内の診療を行います。歯・顎の骨の現状は、過去数十年間にわたる噛み方・使い方の結果です。口腔内カメラで実際の映像をお見せし、ご本人が気づいていない箇所も含めて率直にお伝えいたします。同時に記録を残し、治療中・治療後にも参照できるようにします。画像が一人の患者さまで数千枚になることもざらです。またお口の中だけでなく、お顔全体、身体全体の状態も記録します。

触診
歯周検査に加え、歯茎の状態もチェックします。患部を押したり触ったりして、痛みの程度などを調べます。骨の減り具合の診査もあります。

運動状態
お口の動きを中心に、歩行や診療チェアでの姿勢も調べます。開閉だけでなく、横方向の動きが苦手な方も、よくいらっしゃいます。治療がスムーズに進むよう、基本的な動きはできるだけ早く習得し、ご自宅でも鏡を見て練習してください。

咬合紙による咬合診査も行い、バランスを見ると同時に、引き抜き方法による咬合圧も確認します。

レントゲン診査
歯や骨、顎関節など、外から見えない部位はレントゲンを使って診査診断します。大切なのは、目の前のレントゲン情報を理解し活用することです。当院では、30年以上のデータがある患者さまもいらっしゃり、長期的な変遷も観察することができます。

歯周検査(EPP、MT)
【 EPP 】 歯周ポケットの深さを測定します。歯周病の程度やタイプ、歯根亀裂の有無・程度などが分かります。

【 MT 】 歯の動揺度診査です。噛み癖を調べる場合は、20段落以上にも分けて詳しく観察します。この診査により、これまでに起きたことや今起きていることが判明し、今後の予測につながります。

この検査をすることが、患者さまに噛み癖の説明をする根拠となります。患者さまにとっても、事実に基づくお話を聞くことが、ご自分の状態に気づいたり何かを思い出したりするきっかけになるのではないでしょうか。

現時点での歯の揺れは、悪化度合いの現状を示しています。噛みすぎの様子もさまざまで、「ギリギリ」「ガツンガツン」「ギュ〜ッ」の3パターンがあります。 MTでは0.05mmの揺れ幅の差をも判別するため、患者さまがどれだけ一生懸命改善に取り組まれたかも見分けることが可能です。ご本人の意欲が見られない場合は、治療を中止することもあります。

プレスケール
機械による噛み合わせ診査です。噛む強さやバランスを可視化して表示することができます。ただし厳密さに欠けるため、あくまでも参考として使用します。

スタディモデル診査
上下全体の型を取り、歯列を中心としたお口の状態を模型で再現します。歯列の後方・内側から見た噛み合わせの診査が可能になります。

3.カウンセリング

ヒアリングや問診の延長でもあり、悪化原因の除去に向けてアドバイスを提示する段階です。

ここまでの流れの途中でも、折に触れてアドバイスは差し上げます。少しでもご理解の助けとなるよう、スタッフからも同様のアドバイスをお伝えしたり、表現方法を変えてご説明したりします。誤解していたり忘れてしまったりする方もいらっしゃいますから、患者さまの個性に合わせ、回数を重ねてお伝えする方針です。なるべく少ない手間で「現状維持が期待できる=歯を残せる」状態、つまり「大丈夫な状態」を目指します。

何か問題があったりうまくいっていなかったりする場合は、歯科医師による診察で分かります。今まで慣れた噛み方を変えるわけですから、嫌だと感じることもあるでしょう。いくら費用をかけていただいても、ご本人が取り組まなければ結果にはつながりません。早期の取り組みやご本人の改善意欲が、良い結果につながります。もちろんあまりにも苦手なことや体調のご都合もあると思いますので、困った時は自己判断せず、歯科医師にご相談ください。

なかには「癖だから仕方がない」と諦めてしまう方もいらっしゃいますが、せっかく来院されたのですから、できる限りのことをして差し上げたいと思います。

治療のご説明時には、口腔内写真とレントゲン、模型などさまざまなツールを使います。特に模型は後ろや内側から見て噛みやすさをご説明するのに役立つものです。そして、歯を残すために欠かせないことや補強的治療の内容についてお伝えします。

4.治療

指導が治療の要です
噛み癖治療の要であり、さまざまな段階があります。噛み癖がない方の場合は、状況をご説明するだけで終了です。また「よく噛んで食べる」という意味を勘違いして、あえて強く噛んでしまっていたケースが意外にも大変多くあります。こうした場合は、誤解を解くことで噛み癖の改善が期待できるため、保険診療以外の費用は発生しません。

2回目の診査で治療費用が決まります
最初の診査で噛み癖が出ていた方を対象に、改善方法や要領をある程度までご説明します。その後、2回目の診査結果に応じて治療費用をご提示します。結果次第では、治療を中止する場合もあります。

噛み癖は、程度に応じた治療が必要です。訓練して噛む力が許容範囲内になれば、次の段階に進むことができます。歯を長持ちさせるため、噛む力の程度に合わせた補強治療を行います。

予防のためマウスピースの使用をご提案します
ごく軽度の方を除き、噛み癖のある方にはマウスピースの使用をご提案します。睡眠中は自分でコントロールできないため、噛みすぎないようマウスピースで予防することが欠かせません。マウスピースは4~5年で作り替えます。マウスピースは、昼間もお使いになることが可能です。

マウスピースの使用をきっかけに、噛み癖の問題を自覚できるようになる場合も多々起こります。この時が、感覚を切り替えられるチャンスです。

普通に噛めるようとことん指導します
【 寸止め 】 歯を当てなくても食事の8〜9割は可能であることを体感し、実践していただきます。

【 リマインダー 】 認知行動療法の手法を取り入れ、貼り紙などを活用します。普段は気にしなくてかまいませんが、貼り紙を見たら歯が当たらないように浮かせてください。歯と歯との接触を減らし、噛む力を軽減する訓練です。数十年来の癖を減らすのは困難ですから、方法を変えてみましょう。1~2ヶ月もすると見慣れて意識しなくなってしまいがちなので、10〜20枚の貼り紙を取り替えながら使用します。自己流で気をつけるのみでは、そのほとんどが逆に悪い方向に進んでしまいます。

入れ歯での噛み方もとことん指導します
歯が0本で総入れ歯を使用していても、お食事には何も困らない方もいらっしゃいます。要領良く噛めている証です。とはいえ、もっと前から要領の良い噛み方をしていれば、そもそもご自分の歯を失わずに済んだかもしれません。歯を失った時とは真逆の良い習慣を身につけ、入れ歯を上手に使いこなしましょう。

硬い食べ物がお好きな方は、つい片側の奥歯で噛んでしまいますが、総入れ歯ではできません。入れ歯が傾いて外れてしまい、歯茎に食い込んで痛くなるからです。どんな入れ歯でも、この理屈は同じです。総入れ歯で硬いものを噛むには、下顎をずらさないようにしましょう。左右の第二小臼歯を中心に両側を同時に噛むことがポイントです。この方法なら入れ歯は傾いたり外れたりせず、まっすぐに沈んで十分な力を受け止めることができます。大きいものは片噛みになりやすいので、小さめにしてください。

「左右両方で噛む」というのは、「右3回左3回噛む」という意味ではありません。左右同時に噛むという意味です。「歯の限界の3割の力で噛む」力加減を学ぶには、ご自分の指を噛んでみるという方法があります。下の小臼歯(4・5番目)に指を置いて爪を噛んでみて、痛くなったら噛みすぎの目安の4割以上ということです。入れ歯以外でも同じ方法で訓練します。要領を間違えてしまう方が多いため、何度も確認させていただきます。

入れ歯でのお食事は、車の運転と同様に加減をマスターすることが大切です。2割から3割の微調整を身に付けることです。最初はできなくても訓練してきちんと習慣化すれば、考えなくても加減を調整できるようになります。ただし、早食いは噛み方が雑になり、微調整をしなくなるので注意が必要です。

基本的な歯科診療を行います
保険診療では、虫歯は形状の復元、歯周病は進行抑制を基本とします。噛み癖が軽度の方や改善できた方は、良い方向に向かう見通しが立つので虫歯・歯周病の治療を進めます。治療後も歯が長持ちしそうであればここで終了し、メンテナンスに移行します。

必要に応じて、追加の治療をご提案します
噛み癖の改善と基本的な歯科診療だけでは、歯の温存が期待できない方もいらっしゃいます。その場合は次の段階として、補綴矯正をご提案します。

メンテナンス
歯並びと噛み合わせが改善できたら、後は長持ちさせるための取り組みをします。意識的に正しい噛み方ができない方はマウスピースを使って噛みすぎを予防するなど、元通りにならないよう気をつけてください。

せっかく噛み癖をなくす訓練をしても、3〜4ヶ月後には戻ってしまうことがよくあります。半年後には再び口腔内が悪化し、そのまま受診も忘れていると、悪化が進む結果となります。患者さまに悪意はなくても、気の緩みは悪化の入り口です。そうならないよう、半年以内には点検を受けましょう。悪化する前に食い止められれば、治療は不要です。治療のやり直しにお金を使わなくて済むよう、メンテナンスを活用してください。